秩父には「小昼飯(こぢゅうはん)」といって、農作業の合間など小腹がすいたときに食べる郷土料理がいろいろあります。主に地元の穀物、農産物を食材として各家庭で独特の調理をしたものです。
秩父商工会議所は、秩父地域に古くから伝わる伝統料理・郷土料理を復活させ、地元の人々の再認識を促すことで次世代に伝承し、観光客の皆様には「小昼飯」を食べていただき、秩父地域の歴史文化の一端として、より理解を深めていただきたいとの思いで、食文化の伝統継承に取り組んでおります。
食生活、旅行スタイルがさまざまに変化してゆく中で「地産地消」の原点に立ち、秩父の郷土食を「ちちぶの和点心 小昼飯」ブランドに育てられれば幸いです。
●ずりあげ
鉄鍋に湯をたぎらせ、ゆであげたうどんを入れます。各々が自分の箸で鍋からずりあげ、生醤油や好みの薬味で食べる素朴なものです。 調理の手間が省け、寒い頃はとくに、身も心も温まる親しい間柄ならではのごちそうです。
●おっきりこみ
からっ風が身にしみる頃、きのこや野菜をたくさん入れたおっきりこみは、どこの家でも井戸端を囲みながら食べました。
●たらし焼き
菓子があまりなかった頃、野良仕事のおやつやお茶受けに、たらし焼きは貴重な食べ物でした。このたらし焼きをコマ味噌であえることもあります。
●みそポテト
どこの家庭でも常備されているじゃがいもを使い、簡単にできるみそポテト。サクサク、ホクホクとして、甘辛い味噌だれがよく合います。 秩父では、おかずやおやつ、おつまみの定番です。
●つみっこ
つみっこは、別名「とっちゃなげ」「すいとん」とも呼ばれています。小麦粉を水で溶き、季節の野菜をたくさん煮立てた鍋の中に入れて作ります。 忙しい時の食事として、秩父地方の農家でよく作られてました。
●つとっこ
春浅い山里に、新緑の燃える頃ともなると裏山に登り、栃の葉を摘み「つとっこ」を作る習慣が続いています。 秩父地方でも山深い所で多く作られています。山仕事や野良仕事の弁当として、また子供のおやつとして愛好されてきました。
●手打ちそば
秩父そばは山里のごちそうの一つとして、春秋の祭日、祝い日、来客用に珍重されてきました。 特にお正月の3日間は朝そばの習わしがあり、朝早く起きて作ったということです。 十割そばを扱っている蕎麦屋もありますが、家庭ではそば粉と小麦粉を3対7くらいで打つのが普通とされています。
●炭酸まんじゅう
あまり時間もかからずおいしく出来るので、田植えやお蚕あげなどの繁忙期、七夕、お盆等の物日によく作られます。かめばかむほど味の出る昔ながらの味です。
●ねじ
螺旋状にねじったうどんを小豆であえることから、ねじと呼ばれたのでしょうか? 名前の由来はさだかではありません。昔から8月16日の送り盆等に作られています。 お汁粉のようにゆるいあんであえたものは、「小豆ぼうとう」と呼ばれてます。
●そばまんじゅう
そばが秋にとれるので、冬によく作られます。 堅くなったら蒸しなおすか焼いて食べます。
●みそおでん
11月末にもなると、こんにゃく玉の掘り取りも終わり、寒さも一段と厳しくなります。 こんな時、夜なべ仕事にどこの農家でもこんにゃく作りをします。みそおでんは、手早く簡単にこんにゃく独特のおいしさと食感を味わる一品です。
●中津川いも田楽
奥秩父大滝の急斜面で栽培されている特産品のじゃがいもです。小ぶりでいもの皮がやわらかく、皮ごと食べられるのが特徴です。
●えびし
戦国時代の保存食として古くから作られたもので、終戦頃まで結婚式の膳部を飾りました。 正式には、柚餅子とも呼ばれたものですが、これが訛ってえびしとなったといわれています。